「3つの風」



風がないので風鈴は夢を見ていました。

それは青い空に浮かぶ風船の夢でした。

風鈴は青い空が大好きだったのです。

青い空へ上っていく風船は透明で、

青い空と同化しようとしています。

それがいつの間にか風鈴になり、

風鈴は念願の青い空へと舞い上がっていきます。

そんな夢を風鈴は見ていましたが、

そよ風が拭いて体の内側をチリンチリンと

揺らしました。

風鈴の夢はパリンパリンと砕けて消えました。


END