「リンゴとイチゴのお話」


ある日、とある台所の
フルーツバスケットの中でのことです。
その中には色々なフルーツが入っていましたが、
特に目をひくのは、赤い果物でした。
その赤い果物は2種類ありました。
リンゴとイチゴです。
二つとも、とても赤く熟れておいしそうでした。

「でも、私の方がおいしいわ。」

リンゴがきどっていいました。

「あら、あたしの方がおいしいわよ。」

イチゴも、負けじと言い返しました。

「私が1番よ。私はジャムにもなれる、パイにも
 ジュースにも、それに体にだっていいのよ?」
「あたしだって、ジャムやパイ、ジュースにも
 なれるわよ。もちろん、体にだっていいんだから。」

二人は言い合います。

「ふふん、私の方が大きくて、
 1つで皆を満足させられるわ。
 アナタは、そんな小さいんじゃ、
 たくさんいないとダメじゃない?」
「くすくすっ。あなたのその芯は邪魔よね?
 あたしは、そのまま一口で簡単に食べれるのよ?」

そうやって、二人がしばらく喧嘩していると、
ふいに二人の子供がやってきました。
白い翼を持った少年と黒い翼を持った少年です。
彼らは、フルーツバスケットを眺めていましたが、
ふいに、白翼の少年はリンゴを、
黒翼の少年はイチゴを取りました。

「やっぱり、リンゴだよね。」
「イチゴかな?」
「リンゴのほうが、大きくておいしいよ。」
「イチゴのほうが、食べやすくておいしいね。」
「リンゴは体にいいもん!シャキシャキしてるし。」
「イチゴも体にいいね。タネのツブツブがいいんだ。」

二人の少年はそういいながら、去っていきました。
フルーツバスケットの中には
もう赤い果物はありません。


END